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ファッションは、360度、トータルで考えるもの 風間ゆみえ  スタイリストYOU ARE CULTURE SCHOOL. Vol.5 

2017.12.14
YAC SCHOOL

現代のカルチャーを牽引する気鋭のクリエイターが、刺激的なレクチャーを繰り広げるトークイベント「YOU ARE CULTURE SCHOOL」第5回目。今回のゲストは、JUNグループ全ブランドの世界観を楽しく体験できるイベント「JUN CULTURE CLUB」での「MAISON DE REEFUR presents スペシャルトークショー」に登場したスタイリスト・風間ゆみえ氏。MAISON DE REEFUR 店内にて展開中のギフトサロン「La Boutique Fantasque」をディレクションする風間氏の、ファッションの枠を越えたライフスタイルとセルフプロデュース術をお送りします。

1:ファッションは、自己と他者との関係性から生まれる。

 今回のJUNグループの文化祭「JUN CULTURE CLUB」、楽しかったです! 冬の新作まで一気に見ることができました。特に気になったアイテムはエコファーのコート。エコファーは暖かくてふんわり軽く、わりと汚れも気にせず着られるので本当に重宝するの。去年の私も薄着の上に茶色いクマみたいなファーコートばかりをずっと着ていたくらい。あと今回出ていた新作では、ボアのフェイクムートンの、モーヴカラーのコートも可愛かったですね。優しい色合いでモコモコしていて、愛されそう…!

 実は“愛されたい”と思って服を着るというのも、ファッションにおいては重要なファクター。私は、夫の好みとは違う服はほとんど選ばないんです。「今はこれが流行ってるからいいの!」などと我を通して服を着ることはないですね。母から何か言われたらちょっぴり気にしながらも無視しちゃうけど、少なくとも夫には、素敵だと思われたいの。夫が見ているとか、見ていないとかにかかわらず、彼の好みの女性像で居たいんです。(可愛い~!という会場の声に)そうなの、可愛いところ、あるでしょう(笑)? でもこういった自己と他者との関係性って、ファッションにおいて非常に重要なファクターだと思うんです。

 ファッションには多分に相対的な部分があって、単に流行のものを着ることが、必ずしもその人をスタイリッシュに見せるとは限りません。私は肩書きはスタイリストですが、単なる“トレンド”というカテゴリーをあまりとらえることをしません。雑誌のお仕事だと「今シーズンのトレンドは?」と聞かれたりするのですが、「トレンドを追えていないのでよくわからないんです」って言ってしまいそうで…。いわゆる“スタイリスト”の肩書きからみたら異質かもしれませんが…。でも実際に25年間スタイリストをしてきて、流行を提案したことはそれほど多くなくて。それよりも今の気分や、時代の空気みたいなものに合ったおしゃれ、その時々に、瞬間に、どんな服がこの場所で素敵に映るだろうか、というものをいつも考えています。それと、例えば、暗いニュースが続けば “なるべく明るい服を着よう” という発想でスタイルを決めたり。纏う服が街を明るく彩ってくれていると、ああいいな、とか思ったりして。

2:トータルスタイリングが、洋服のパワーを増幅する。

 今着ている水玉模様のブラウスは、先日『MAISON DE REEFUR』の代官山のお店で購入したばかりなのですが、新しい服を着るというリフレッシュ感(笑)私自身までがアップデートされて新しくなった気分よ!そんな経験はみなさんもあると思います。お洋服って、着ることによってすごく勇気をくれるもの。気に入った服や、新しい服、やけに似合う服、誰かに褒められた服、選んだ服は、自分を飾ってくれるもの。自分自身にネガティブに映る要素をうまく取り繕って、言い方は良くないかもしれないけれど誤魔化してくれたりもします。いい服にはそれだけのパワーがありますよね。

 さらに、どこへ行くのか、誰に会うのか、お天気はどんなかしらと決めた服に、どんなアイテムを合わせようか、どんなヘアスタイルにしようか。そういったあらゆる要素を考えてスタイルを創るのが、ファッションだと思うんです。私の毎日の服選びも同じです。前の日に準備しようと思って悩んでも、「だめだめ、どうせ今悩んだって、明日には変えちゃうんだから」と思って近頃は寝ちゃいます(笑)。朝起きて、今日の天気はどんなかな、湿度、空気の匂い、五感に聴く。そのときに欲しい色や、素材の感触といったフィーリングを大切にしています。今日のように秋冬の展示会に着ていくなら、まだ気温は暑かったりするけれど、秋を香らせたいわと、コーデュロイのハーフパンツを合わせてみたり、といった感じですね。

 トータルスタイリングとえいば、全体のバランス、シルエットを映し出す髪型はやはり重要ですよね。私は胸の下まで髪を伸ばして「せっかくここまで伸ばしたんだからもったいない」と執着していたのですが、157.5cmの身長ではバランスが取りにくかった。朝、服を選ぶにも大変でした。今は思いきってバッサリ切って、すごくスッキリ、服も合わせやすくてラクになりましたね! 『MAISON DE REEFUR』でブラウスと一緒に買った、大きなピアスも映えるようになって、楽しさが広がりました。

 つまり、髪は全身のシルエットのバランスを取るのに大きく影響するんです。しかも私たち日本人は、髪の色も黒~ブラウン系で比較的暗めなので、わりと重い印象。でも、少しの工夫で変えられるんです。 例えば髪が顔にかかっていると重いけれど、片方だけ耳にかけると軽くなるという風に。また、サイドのヘアを両耳にかけてもっと顔の輪郭を出すと、さらに軽くフレッシュな印象が加わる。着る服に合わせてそういった工夫をするだけでも、つくりたいイメージ、スタイリングはどんどん変わるんです。

3:服と同じように、”香り”も纏うもの。

ファッションは服だけではない、とお話してきましたが、もう一つ、すぐに楽しめる“プラスα”の要素は、香りのコーディネートです。例えばこのブラウスにどんなボトムを合わせるか、というのは誰しも考えるけれど、そのときさらに、香りもコーディネートするとすごく楽しいのです。今回は『ロペ』ブランド50周年を記念して、『ロペ』『アダム エ ロペ』『ロペピクニック』と、3つのブランドをイメージした香りが発表されたのですが、それぞれ服のイメージに合わせやすそうで、親しみやすく爽やかな、好感の持てる明るい香りでしたね。

 私は香りも、起きた時の気分にあわせて纏うのが日課。きちんと香水をつけるのか、軽くコロンをシュッとするのか、ボディクリームの香りだけで終えるのかなど、毎日変化をつけて楽しんでいます。春の香り、夏の香り、晴れの日の香り、雨の日の香り、朝の香り、夜の香り…などと、選びの切り口はたくさんあって、本当に装いの一部になってくれるんです。うちはちょっと特殊で、80本近い香水があって「どうやって選んでるの?」ってよく聞かれるのですが、何十年も一緒にいるのでだいたいフィーリングで手に取れます。

 まずは一つでも気に入った香水があれば、そこから広げて行くのもよいと思います。その中で自分のイメージにあった香りが見つかれば、それはすごく素敵なこと。どんなお洋服を着ていても、自分らしい香りがあれば、その服がパーソナライズされます。同じワンピースを着ていても、その人がふわっと纏う香りで、印象が全く変わるんです。ファッションが服だけでなく、アクセサリーやバッグ、ヘアスタイルで変わっていくのと同じように。

 心地よいと感じる香りは、脳にもとてもいい影響をもたらします。ある香りには、女性ホルモンも活性化させる作用があるとも言われています。最近なんだか飽きたな、つまらないなと思ったときや、何か変化が欲しい、でも何が欲しいのかがわからないというときは、香りという観点で、その“何か”を探してみるのもよいと思います。


4:生体リズムやライフスタイルまでも、ファッションの一部に。

 つまり、スタイリストというお仕事は、洋服だけに目を向けていれば良い訳ではない。本来はお洋服から派生して、360度ものごとを考えることだと思っています。例えば私は首をきれいに見せたいので、胸元があいている服がしっくりと似合って好きなのですが、胸元を見せるのなら肌のトラブルもないようにしたいですよね。おしゃれを楽しむには、肌色、顔色も血色良いほうが艶っぽく見えるし、体調が悪かったりすると、そもそもお洒落を楽しむ気も湧かないだろうし、元も子もない。コンディションを整えるためには、よりよい睡眠の時間も必須です! それが判ってからは、就寝のタイミングや、生体リズムの調節をしてくれるホルモン”メラトニン”をうまく分泌させる方法なども考えるようになってきて。例えば就寝前に、スマートフォンやPCなどのブルーライトを3秒以上浴びると、メラトニンの分泌に影響が出てくるそうで、そういったことも意識するようになってきました。

 素敵な服を着こなすためには、そのベースとなる中身が非常に大事になってくるのです。服選びと同じくらい、食べるもの、口に入れるもの全てが重要で、生活環境の影響はものすごく大きく出てきます。だからこそ、そのベースを作るのための探究を、使命みたいに感じるようになっていて。体のケアのことなどを、今いろいろと勉強しています。洋服はすごく大きな力を持っていますし、それに関してはある程度の経験は積んできているので、これからは “洋服プラスα” で、今以上にファッションを楽しむための提案をしていきたい。ビューティーや食、健康などの知恵を少しずつつけて、それをみなさんに伝えたり、悩みを解消していけるようにしたい。フィトテラピー(植物療法)や食養、陰陽学などを学ぶために、学校にも行っているんです。これからはさらにみなさんが元気に、パワフルになれるように、学んだことをおしゃれと一緒に発信してゆきたいですね。

あなたを作ったカルチャーは何ですか?

小さい頃からおしゃれ好きだったかというと、私自身そんな記憶もあまりなくて。母や祖母はそんな人でしたが、私は、おしゃれよりも、花や雲や雨や、食べ物(甘いもの以外)が好きでした。そして香りには人一倍敏感な子供でもありました。

季節の香りを嗅ぐのが大好きだった。

スタイリストには、学校に行ったわけでもなくて、縁があって、気がついたらなっていた、という感じです。

 でも、元々は20歳でその道は諦めてしまったのですが、若いときは役者になりたかった。私はすごく欲張りだから、役者さんって様々な人生を歩めるでしょう? 私もそんなふうに一つの生き方ではなく、いろんな人の人生を生きてみたかった。今は“自分のスタイルはこれ”っていうのがあるけれど、昔は本当に、キューティーハニーみたいに、毎日ぜんぜん違う自分でいたかった。

 そんなとき、何がいちばん手っ取り早く変えられるかというと、やはり”着ているもの”なんです。人間の中身はそうそう変えられるものではないけれど、気分なら変えられる、服なら「今日はボーイッシュ」「明日は可愛らしく」という風に、願望に合わせて変えられる。それに、何でも知りたくて、何でもやってみたい性格なので、例えば同じ服のカラーバリエーションで、赤と青とネイビーがあったとしたら、3色全部買って着てみる。試着室に服をいっぱい入れて試着したり、そんなことばかりしていた。そうして、多少は経験値が上がったのでしょうか。

 格好をつけたいけれど、意外に格好悪い自分がいて、それでも格好をつけたくて。そうして学んできて、今の自分ができたのだと思います。

風間ゆみえ スタイリスト

独自のファッションセンスで広告、CM、ファッション雑誌、ブランドのディレクションなど多岐にわたって活動中。著書に「Lady in Red」「GLAMOROUS HAWAII」「LIKE A PRETTY WOMAN」。『MAISON DE REEFUR タカシマヤゲートタワーモール店』内にギフトサロン『La Boutique Fantasque』を展開、その期間限定のポップアップを、東京の『MAISON DE REEFUR 代官山本店』内にオープン。

11/24(金)13:00~MAISON DE REEFUR 代官山本店、11/25(土)~MAISON DE REEFURタカシマヤ ゲートタワーモール店にて【NOEL DE La Boutique Fantasque(ノエル ドゥ ラ ブティック ファンタスク)】を開催。

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