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FEATURE

山梨の旬の食材×シャトージュンのマリアージュ、アートの旅 Chateau Jun シャトージュンChateau Jun × ART TRIP 

2017.06.13
SCHOOL

2017年5月12・13日の2日間、「山梨の旬の食材×シャトージュンのマリアージュ、アートの旅」と銘打ったワイナリーバスツアーが、JUNグループの社員とお客さまを対象にそれぞれ開催された。
お客さまとの交流はもちろん、社員にとってもJUNの文化や理念をより深く知るための機会にもなっている。
バスで東京を出発し、中央自動車道で山梨県へ。ミレーの絵が展示されている「山梨県立美術館」から始まり、「ビストロ・ミル・プランタン」でのランチ、そして旅の目的地である「シャトージュンワイナリー」を巡る日帰りバスツアーだ。

今から38年前の1979年、ジュングループ直営のシャトー ジュンワイナリーは山梨県勝沼町に誕生した。
サザンオールスターズが「いとしのエリー」をリリースし、ソニーが「ウォークマン」を発売した時代だ。
以来、良質なワインを製造し続け、日本のワインコンクールでは過去13回、26アイテムが入賞を果たしている。シャトージュンのワインには、主に山梨県内で栽培されたブドウが使われている。生産者との密な連携により、常にブドウ畑の状況を把握してワイン造りに生かし続けている。こだわりはエチケット(ワインのラベル)にもある。ワイナリー30周年を機にリニューアルしたエチケットは、一枚一枚手貼。何故なら、それはワインの大切な顔であり、シャトージュンの『おもてなし』の気持ちを表す重要な手段だからだという。
シャトージュンは白ワインに強みを持つワイナリーとして、シャルドネ、甲州に加えセミヨン種100%で仕込んだ辛口のセミヨンが、和洋の著名なレストランで提供されている。
2012年には“JALヨーロッパ国際線エグゼクティブクラス”の機内用ワインとして「甲州ヴィンテージ2010&2011」が1年間サービスされた実績があり、2015年には山梨県の“ふるさと納税返礼品”として「甲州2014」、2016年には「甲州スパークリング」が選出された。

「象徴的な農民の姿」を描いたミレー

今回のバスツアーで、最初に立ち寄ったのは、甲府市にある山梨県立美術館

ここでは後ほど説明するシャトージュンのエチケットに使われているミレーの絵画が常設展示されており、1978年の開館以来「ミレーの美術館」として広く親しまれている。
ジャン=フランソワ・ミレーは、1814年にフランス西北部のグリュシー村で生まれた画家。小さい頃から絵を描くのが好きだった彼は、パリの美術学校へ通いプロの画家になり、1849年にはパリから少し離れたバルビゾン村に移住。この村で最初に描いたのが、あの有名な大作《種をまく人》だ。
解説ボランティアの方の説明によると、ミレーがテーマとしたのは自然を相手に互いに助け合う、農村という社会のあり方。ミレー作品の農民の顔が、はっきりと描かれていないのは、特定の個人ではなく農村で生きる人々を体現するようなたくましい農民の姿を象徴的にあらわすためだったのだ。
ミレーの絵からは牧歌的でありながらも、自然への賛美と畏怖の念、そしてありのままの人間の本質が、作品の持つ空気を通して感じられた。
バルビゾン村周辺には1830年から1870年頃にかけて、多くの画家が集まり、自然主義的な風景画や農民画を写実的に描いた。その画家たちはこの村の名前から「バルビゾン派」と呼ばれることになった。

ジャン=フランソワ・ミレー
《種をまく人》 1850年
山梨県立美術館所蔵

ミレーの絵画とシャトージュンとの出会い

2002年に開催された「ボストンと山梨のミレー」という特別展のため山梨県立美術館に、ボストン美術館から《種をまく人》が貸し出された。これを機に代表的なミレーの絵画6枚を、県の地場産業でもあるワインのエチケットにしてはどうかという企画が持ちあがる。県内ワイナリー数社が協力して、特別展の開催期間(2002年9月14日~11月4日)限定でミレーの絵をエチケットにしたワインを販売。好評のうちに特別展は幕を閉じ、ワインの販売も終了した。しかしシャトージュンは、山梨が誇る文化的資産であるミレーの絵画と山梨県立美術館をもっと広く知ってもらいたいとの思いから、通年販売したいと美術館に提案。「絵画のイメージを損なう状態での販売は避けてほしい」「絵画の色を忠実に再現して欲しい」という条件のもと、許可がおりた。色調が忠実に表現できるまで何度も印刷を行い、ボトルに貼った絵画の見え方が原画の雰囲気を損ねないように試行錯誤を重ね、お互いが納得できる状態になるまで1年近くを要し、ついに発売が実現した。

現在では、当時使用した絵画6枚をエチケットにしたワインを「ミレーシリーズ」として通年で販売している。

ブドウ畑に囲まれたビストロ「ミル・プランタン」

次に訪れたのは、周りを一面のブドウ畑に囲まれたビストロ「ミル・プランタン」
「銀座レカン」元シェフソムリエの五味丈美さんと奥様の千春さんが、山梨の旬を大切にしたいという想いで始めたビストロだ。
「千の春」という意味の「ミル・プランタン」という名前は、奥様のお名前「千春」が由来。ここではシャトージュンのワインとマリアージュさせた絶品ランチをいただいた。
料理に使っている肉や野菜は、南アルプスの天然水で育てられたものを生産者から直接買い付けしている。
春になれば野山に生えるつくしを採り、ブドウの芽かきの時期には新芽を天ぷらにし、山梨の自然がはぐくむ、ありのままの食材を提供している。
地産地消を実践して山梨の良いところを紹介することを大切にしている五味さんから、シャトージュンのワインとマリアージュさせた料理について説明いただいた。

「山梨は他県と違い、山々に囲まれた盆地の中で、ほとんどのブドウや果物、野菜が造られています。盆地特有の一日の寒暖差と、美味しい雪解け水がもたらす環境が、他県よりも果物栽培に適した気候風土『テロワール』になっています。もちろん、テロワールという言葉には自然環境だけでなく、そこに暮らす人の知恵や力も含まれています。山梨の美味しい水で育つ食材は、山梨のテロワールで育ったブドウから造られたワインとの相性が素晴らしいことは間違いないのです。ワインと食事をマリアージュするときは、ワインの個性と料理の食材や調理方法で、同じようなニュアンスを感じるもの同士を合わせていく事が、口の中での味わいや、旨味をより増幅させてくれます。いろいろとまずは試していただき、その中から自分に合ったワインを探していくのがよいでしょう。」と五味さんは教えてくれた。

甲州麦芽ビーフのグリエ、ブドウの芽のフリットを添えて

「山梨は他県と違い、山々に囲まれた盆地の中で、ほとんどのブドウや果物、野菜が造られています。盆地特有の一日の寒暖差と、美味しい雪解け水がもたらす環境が、他県よりも果物栽培に適した気候風土『テロワール』になっています。もちろん、テロワールという言葉には自然環境だけでなく、そこに暮らす人の知恵や力も含まれています。山梨の美味しい水で育つ食材は、山梨のテロワールで育ったブドウから造られたワインとの相性が素晴らしいことは間違いないのです。ワインと食事をマリアージュするときは、ワインの個性と料理の食材や調理方法で、同じようなニュアンスを感じるもの同士を合わせていく事が、口の中での味わいや、旨味をより増幅させてくれます。いろいろとまずは試していただき、その中から自分に合ったワインを探していくのがよいでしょう。」と五味さんは教えてくれた。





自然とともに歩み、追求するスタイル

シャトージュンと美味しいランチのマリアージュに満足した後、最後に訪れたのは、今回の旅の最終目的地であるジュングループ直営のワイナリー「シャトージュン」。
上質なブドウが栽培されることで名高い勝沼町菱山地区にワイナリーを構え、小規模経営ながら新型の機械を先がけて導入するなど、1979年の創業以来クオリティーの高いワインスタイルを追求している。
ワイナリーの設備を見学し、醸造責任者であり家族でシャトージュンを支える仁林さんの解説を聞きながらのテイスティング。
料理とのマリアージュの基本は、同じ土地、同じ風土の食材や料理と合わせることが大切だという。 山梨の白ワインには、山梨で取れた山菜の天ぷらといった具合に合わせるとマリアージュは成功する。
ブドウは特に自然環境に影響を受けやすい果物であり、その特徴はワインになった時、決して隠せない個性として表現される。
例えば、同じ品種のブドウで造られたワインでも、北の寒い地域で育てられたものは青リンゴやレモンのような味になり、南の暖かい地域で育てられたものであればマンゴーやパイナップルといったトロピカルフルーツのニュアンスを含んだ味として表現される。だからこそフランス語で「大地」を意味し、ブドウが育った土壌や自然環境を指す「テロワール」がワインの世界で重要視されているのだ。

昨今、日本ワインは和食との相性の良さから、日本のみならず世界でも評価が徐々に高まってきてい るそうだ。仁林さんに熱く語っていただき、 ワインの基礎的な知識から近年のトレンド、シャトージュンが造るワインの違いや個性について、理解を深めることができた。





世の中を動かすアグリカルチャー(農業)の力

農業は英語で(Aguricuture=アグリカルチャー)と言う。この単語の語源はラテン語の(Agri=畑)=と(Culture=耕す)の二つの言葉から成り立っている。
さらに、Cultureの語源はラテン語のColereで「住む」「育む」「称える」という意味の言葉からきている。つまりそれが示す意味とは「自然発生ではなく人間の営みによって」という意味合いが含まれた言葉だということがわかる。
ワインは100%ブドウだけで造られる完全な農業生産物であると言われている。ゆえに、ブドウの出来がワインの味そのものを左右するといっても過言ではないが、そこにさらに人の手が介在することで「ワイン」という極上の創造物としてこの世に生を受けるのである。
仁林さんのブドウに対する思いや、ワイン造りの姿勢からは「自然と対峙して生きる人」を感じた。それはまさにミレーが描き続けた姿そのものでもあった。
「世の中を動かすカルチャーの力」という、JUNグループのDNAは、ワイン造りにも生かされているのだ。

Chateau Jun シャトージュン

日本有数のブドウの里、山梨県勝沼町に居を構えるジュングループ直営のワイナリー。
自社畑、および契約農家で栽培されたブドウから、芳醇なワインを製造してお届けします。国産ワインコンクール11年連続で23アイテムが入賞。入賞歴12回の看板キュベ“甲州”は、JAL国際線ビジネスクラスでもサービスされました。

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